大判例

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東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)172号 判決

事実及び理由

一  請求の原因一ないし三の事実は当事者間に争いがない。

二  審決の理由の要点2(第一引用例記載の考案)、同4(本願考案と第一引用例記載の考案との一致点及び三つの相違点)に摘示されたところは当事者間に争いがなく、右相違点(1)及び(2)に対する審決の判断が正当であることについても原告の争わないところである。

この事実によれば、右相違点(1)及び(2)は設計上の微差であつて、相違点(3)を除けば、右両考案は同一の考案であるということができる。

三  そこで、相違点(3)即ちカツターホルダーの構成について本願考案は上部材と下部材が相対向する箇所における左右に上下が外方に拡開するテーパー状部を形成しているのに対し、第一引用例記載の考案が右のような構成を有しない点について、第二引用例記載の発明との対比において、検討する。

成立に争いのない甲第二号証(本願考案の実用新案公報)によれば、本願考案ではカツターホルダー14の左右に外方に拡開されるテーパー状部14d14eがそれぞれ上下に形成されることにより、凸板部、凹板部、側板部(以下、それぞれK1、K2、K3という。)と連続するキーストンプレート(別紙図面(一)第5図)について、K2、K2とK3の境界部を切断後K3を切断する場合(同第4図B)、K1とK1の境界部をK3から切断する場合(同図C)、K1、K1とK3の境界部切断後K3を切断する場合(同図D)、K3とK2の境界部をK3から切断する場合(同図E)において、いずれも各図の示す14d、14eの各テーパー状部がいわゆる逃げとしての役目をするため、被加工物につかえることなくカツターホルダー14が全体として支障なく押接進行することができることが認められる。

第二引用例記載の発明の内容が審決の理由の要点3摘示のとおりであることは当事者間に争いがなく、この事実と成立に争いのない甲第四号証(第二引用例)によれば、第二引用例に記載された鋼板カツターの切断部下方における本願考案の下部材14bに相当するダイ部材27の形状は、別紙図面(三)第1ないし第5、第9、第15、第16図が示すように、被加工物の支持表面である長手方向において弧状をなし、横方向において平坦である凸面であつて、右弧状部が厳密な意味では本願考案の鋼板カツターの14d、14eのようにテーパー状を形成しているとはいえないが、鋼板カツターの切断部における全体としての形状は、左右に上下が拡開する傾斜面が形成されているものと大差ないものと認めることができる。

したがつて、同図面第1、第4図が示すように波形状の被加工物を切断するに当つては、切断部の上下において左右に拡開する傾斜面により円滑に作業をすることができる点において本願考案と第二引用例記載の発明は変わるところがない。もつとも、第二引用例の鋼板カツターでキーストンプレートを切断する場合原告が主張するようにダイ部材27の弧状部がキーストンプレートの直角部につかえて切断しにくいことが予想されないではない。しかし、前掲甲第四号証によれば、第二引用例の鋼板カツターのダイ部材27は別紙図面(三)第9図が示すようにねじ32により腕部材26に固着されるよう構成されていることが認められ、この構成によれば、右鋼板カツターは切断する被加工物の形状に応じて種々の形状のダイ部材を取付けることができるように作られているものということができる。したがつて、キーストンプレートを切断する場合に切断部分の形状に応じたダイ部材を取付けることは当業者がきわめて容易になし得る選択的事項であると認められる。

四  しかして、本願考案、第一引用例記載の考案及び第二引用例記載の発明はいずれも固定刃と上下動する可動刃により鋼板を切断する鋼板カツターに関するものであることに変りはないのである以上、第一引用例記載の考案の技術に第二引用例記載の発明の技術を採択することにより本願考案を想到することは、当業者にとりきわめて容易であるということができる。

五  よつて、審決はその結論において正当であるから、原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註〕本願考案の要旨は左のとおりである。

ハンドル兼モーターケース内のモーターより適宜の連動機構を介して上下動するピストン8をピストンシリンダー9内に設け、上部材14aと下部材14b及び該上部材14aと下部材14bを連結する連結腕部14cより成り、且つ上部材14aと下部材14bが相対向する個所に於ける左右に上下が外方に拡開するテーパー状部14d、14eを形成して成るカツターホルダー14の上部を前記ピストンシリンダー9の下部に固定し、又下部に刃部15bを形成した固定刃管15の上部をカツターホルダー14の上部材14aに固定し、更に上部大径部12bと小径部12c及び下部大径部12dより成り、且つ下部大径部12dの上縁部に刃部12d1を形成した可動刃杆12を固定刃管15に嵌挿すると共に可動刃杆12の上部をピストン8の下部に固定して成る鋼板カツター

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